骨髄移植後の経過として気をつけなければいけないものに、GVHD(移植片対宿主病)があります。そもそも、白血球は自分以外を敵と見なして攻撃する性質を持っており、それにより細菌等の異物を細胞内に取り込み無害化し、からだを異物の侵入から守っているのです。

しかし、移植されたドナーの造血幹細胞がうまく患者に生着し、患者の体の中をドナーの白血球が回るようになると、このドナーの白血球にとっては、患者の体は「他人」とみなされてしまいます。すると免疫反応を起こして患者さんの体を攻撃してしまうのです。この現象による病気をGVHDといいます。

GVHDを予防するために免疫抑制剤を使用します。免疫力が低下するために風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなる易感染性や、糖尿病、満月様顔貌(ムーンフェイス)等まだまだありますが、免疫抑制剤にはざまざまな副作用があります。

中学3年生という多感な時期を副作用と共にした私は特にムーンフェイスにとても悩まされました。顔がパンパンに腫れてしまい、体重はそれほど変わらないのに以前よりも太ったように見えていました。身内から言われた「ふっくらしたね」という一言が、とても突き刺さったのを覚えています。

また、とくに主治医の先生に言われて驚いた副作用に骨密度が減少するというものがあります。「骨がもろくなって、骨折しやすいから気をつけてね」と言われた時には(骨折する薬って何?!なんのための薬?!)と思っていました。笑

そうして、移植後2ヶ月弱の間病室のベッドで感染や清潔には特に気を遣いながら大人しくしていた私は、幸い感染症やGVHD等を発症することなく無事退院を許可されました。

話は少し逸れますが、私の母は、私が病気になってからというもの、「いかに薬や放射線から私を守るか」ということを常に意識していました。ノニや酵素、体に吸収されやすいビタミン剤など医者に交渉しつつ、時にはこっそり私に飲ませていました。それが後の早い回復、卵巣の活動再開などに繋がったか否かははっきりとは分かりませんが、母なりの懸命な対策についても追々書いていきたいと思います。(もちろん推奨している訳ではありません。治療中はいけない行為なのかもしれないのであくまで体験として。)

退院後は、一日おきに病院に通いました。県内でも血液内科としてはトップの総合病院で、朝8時に行っても診察は昼過ぎが当たり前、点滴などによる治療により帰るのは夕方という日々でした。正直、これなら入院していた方がましとおもうくらい、病院の日は長い長い一日です。

そして感染面には特に気をつけました。家族全員が手洗いうがい、除菌をし、家の中にウイルスを持ち込まないように注意していました。食器や調理器具は家族とは別のものを使用し、使う前は全て煮沸消毒。ドアノブなど私がさわなものにはアルコールスプレーで除菌。本や教材なども全て一度アルコールのウエットシートで拭いてから使用していました。調理器具や食器などに不安を抱いていたため、外食はしませんでした。

コロナという名の肺炎が世界を飲み込もうとしている今だからこそ、免疫力が低下している方は特に本気で感染症対策をしなければならないと思います。

これくらい大丈夫だろうというような気持ちの緩み、油断が命を奪うことになるかもしれません。

周りの人は患者のことなど知らずに、ウイルスを保持していながらも外を歩いているかもしれないし、患者に話しかけるかもしれない。色々と公共のものを触っているかもしれない。

自分の体を守れるのは自分しかいません。小さな子供が患者であれば家族が徹底して守ってあげる必要があります。

守れるはずだった命、救われるはずだった命を無駄にしないためにも、できることは徹底的に行っていきたいですよね。

NEXT▷ 復学について